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自己破産をしても残せる財産

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2023年8月21日

1 自己破産をしても一定の財産は残すことができます

自己破産をした場合、財産をすべて売却して、借金の返済に回さなければならないというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

中には、財産をすべて手放さなければならないと聞いて、自己破産をすることをためらってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、自己破産をしても、必ずしも全財産を失ってしまうわけではありません。

確かに自己破産をすると財産を売却して借金の返済に充てるため、全財産を失ってしまう等、何かとマイナスのイメージが強くなってしまうこともあるかもしれません。

とはいえ、自己破産はあくまで生活を再建するために行うものですので、生活に必要となる一定の財産は残すことができる場合があります。

例えば、一定の範囲の生活必需品をはじめ、手放してしまうとその後の生活が困難になるという理由から裁判所が特別に許可した財産等が挙げられます。

ここでは、自己破産をしても残すことができる財産について、それぞれご説明いたします。

なお、京都地方裁判所へ申立てを行う場合、破産事件の受付は、第5民事部破産係となります。

参考リンク:裁判所・窓口案内

2 99万円以下の現金

例えば、財布に入っているお金や、タンスの中に入っているお金まですべて借金の返済に回さなければならない場合、その日の食費すら支払うことができなくなってしまいます。

そこで、99万円以下の現金については、破産管財人の選任を経ることにより借金の返済に充てる必要はないのが原則です。

ただし、あくまで手持ちの現金に限られ、預貯金については、一定の金額を超える部分は原則として借金の返済に回されます。

3 自己破産の手続きが始まった後に得た財産

自己破産をした場合に、借金の返済に充てられるのは、「自己破産の手続きが始まった時点」で所有している財産です。

そのため、自己破産の手続きが始まった後に得た財産は、借金の返済に充てる必要がありません。

例えば、自己破産の手続きが始まった後の給与などは、手元に残すことができます。

4 一定の範囲の生活必需品

家の中にある家電、家具、布団などがすべて処分されてしまうとしたら、以降の生活ができなくなってしまいます。

そのため、一定の範囲の生活必需品については、自己破産をしても手元に残すことが可能です。

5 裁判所が残すことを認めた財産

本来であれば、処分して借金の返済に充てられるような財産であっても、裁判所が特別に許可したものについては、手元に残すことができます。

例えば、手元に現金がほとんどなく、預貯金が少しだけあるような場合、その預貯金を借金の返済に使ってしまっては、その後の生活が困難になります。

そういったケースでは、裁判所の許可を得て、生活に必要な財産として特別にその預貯金を残すことを認めてもらうこともあります。

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