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交通事故の通院交通費

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年8月14日

1 通院交通費

交通事故の被害者が通院するためにかかった通院費等については、原則として、実費が損害として認められます。

⑴ 自家用車での通院

自家用車での通院の場合には、合理的な経路での実費相当のガソリン代が1キロ15円で認められます。

また、駐車場料金などが必要となった場合も、具体的な証拠に基づいて請求できます。

⑵ 公共交通機関での通院

バスや電車などの公共交通機関を利用した場合には、その運賃などが認められます。

公共交通機関を利用する場合、運賃は一定です。

そのため、通常の場合、領収書等は必要ありませんが、自動車を利用できたのにあえて公共交通機関を利用している場合には、保険会社から本当に利用したのかの資料を求められることがあります。

そういった場合に備え、可能であれば交通系ICカードなどを利用して利用履歴を残しておいた方が安心です。

⑶ タクシーでの通院

また、タクシー代など、公共交通機関の料金水準を相当程度超える費用がかかる交通手段については、必要であっても、ケガの内容や程度、交通の利便性などといった相当性がないときには、公共交通機関の運賃を限度にした金額しか認められません。

便利だからといって、ケガがよくなってもタクシーを使い続けると、後に相当性が否定されてタクシー代が自己負担になってしまう場合もあります。

タクシーの使用は、保険会社と相談しながら、必要最小限にしておく方が安心です。

2 交通経路

通勤や通学などの途中で通院する場合のように、通院のために余分な交通費がかからない場合には、交通費は認められません。

例えば、家から会社まで通勤する道の途中に病院がある場合には、通院してもしなくても通勤のためにガソリン代が必要となり、通院するためのガソリン代が別にかかっているわけではないので、通院交通費は請求できないということになります。

被害者が定期券を持っていて、途中下車して病院に行くような場合にも、通院のための金銭的な損害が発生していないので、通院交通費を請求できません。

ただし、通院にあたり、通勤や通学の経路を一部外れて余分に費用が掛かっている場合には、その部分に限って損害として請求することができます。

また、合理的な経路を外れて遠回りや寄り道をしたことで余分な費用がかかっていても、その費用は通院交通費としては認められません。

3 経路の合理性

遠隔地の病院などに通院する交通費は、必要性がなければ認められません。

被害者は通院する病院を選ぶことができますが、合理的な理由もなく遠方にある病院に通おうとしても、通院交通費が支払われるとは限りません。

もちろん、必要な治療をできる医師がいないなど、遠隔地の病院に通院する必要性や合理性があれば認められますが、近くの病院でも可能な一般的な治療を受けるために、あえて遠隔地の病院に通っても、通院交通費として認められません。

4 交通事故にあったときのご相談

交通事故にあったときには、お早めに弁護士に相談をしておくことが大切です。

知識がないまま通院していると、何も知らないままタクシーを使い続けて保険会社に請求して支払いを拒否されたり、証拠を残しておかなかったことで請求が認められなかったりすることがあります。

交通事故にあった場合には、まずは弁護士に相談して必要な知識を知っておいていただくことが、手続きをする上でのトラブルを防ぐことにもつながるかと思います。

ご加入の保険に弁護士費用特約が付いていれば、それを利用することで、弁護士費用の負担を気にせず弁護士に相談することができますので、まずは一度、確認されるとよいかと思います。

弁護士費用特約について解説しておりますので、こちらもご参照ください。

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