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特別縁故者として認められる要件と相続財産分与の手続き

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年3月19日

1 特別縁故者

お亡くなりになられた方の相続人でなくても、一定の関係性を持っていた方(特別縁故者)は、かなり厳格な条件のもとではありますが、相続財産の分与を受けられる可能性があります。

相続財産の分与を受けられるのは、被相続人に法定相続人がおらず、相続債権者や受遺者(遺言がある場合)に弁済をした後でも相続財産が残っており、かつ特別縁故者の要件を満たすと認められた場合です。

以下、詳しく説明します。

2 特別縁故者として認められる要件

特別縁故者に対する財産分与は、一定の期間内に相続人としての権利を主張する者がおらず、かつ次のいずれかの要件を満たし、裁判所が相当と認める場合に認められる旨が民法によって定められています。

① 被相続人と生計を同じくしていた者

② 被相続人の療養看護に努めた者

③ その他被相続人と特別の縁故があった者

【参考条文】(民法)

(権利を主張する者がない場合)

第九百五十八条 第九百五十二条第二項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)

第九百五十八条の二 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

参考リンク:e-gov法令検索

①被相続人と生計を同じくしていた者には、具体的には、内縁(事実婚)の者として共同生活をしていた方、養子縁組はしていないものの事実上の親子として共同生活をしていた方などが該当します。

②被相続人の療養看護に努めた者には、同一の生計ではなかったものの、被相続人の生前に生活の世話をし、病気等に罹った場合には入院等の手続きを行い、療養看護をし続けていた方などが該当します。

③その他被相続人と特別の縁故があった者には、①や②と同等の関係があったと認められる方が該当し、身元引受人や任意後見人などを務めていた方などが当てはまります。

3 相続財産分与の手続き

⑴ 相続財産清算人選任申立て

特別縁故者が相続財産の分与を受ける場合、前提として家庭裁判所に相続財産清算人の申立てを行う必要があります。

相続財産清算人が相続人の捜索を行い、相続債権者・受遺者への弁済を行った後でないと特別縁故者への財産分与手続きが行えないためです。

⑵ 相続人捜索公告・請求申出公告

相続財産清算人が選任されると、家庭裁判所は官報にて相続人捜索の公告を行います。

相続人捜索の公告から6か月以内に相続人がいることが判明した場合には、手続きが終了します。

また、相続人捜索の公告から2か月後には、官報にて相続債権者・受遺者への請求申出公告が行われます。

請求申出期間内に債権者および受遺者から申し出があった場合には、相続財産の中から弁済を行います。

もしこの時点で相続財産がなくなった場合には、手続きは終了します。

⑶ 特別縁故者に対する相続財産分与の申立て

相続人捜索の公告から6か月が経過し、かつ相続人がいることが判明しなかった場合には、相続人が不存在であることが確定します。

そして、相続人が不存在であることが確定してはじめて、相続人捜索の公告の期間満了から3か月以内に、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをすることができます。

参考リンク:裁判所・特別縁故者に対する相続財産分与

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