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交通事故被害相談<span> by 弁護士法人心</span>

子どもが起こした交通事故における親の損害賠償責任

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2025年6月4日

1 子どもの年齢と親の責任

令和4年の民法改正で18歳が成人の年齢とされたため、現在は、18歳未満の人が未成年となります。

子どもが18歳以上で成人の場合には、原則として、親は損害賠償責任を負いません。

では、未成年の子どもが交通事故を起こしてしまった場合、親は損害賠償責任を負うことになるのでしょうか。

2 未成年の子どもに責任能力がない場合

子どもが12歳未満の未成年であるなどで責任能力が認められない場合、未成年自身に対しては、責任能力がないので損害賠償請求をすることができません(民法712条)。

しかし、子どもが未成年で責任能力を持たないとしても、民法714条により、未成年を監督するべき義務を負った親権者に損害賠償責任が発生します。

親権は基本的には子どもの父母がもっていますが(民法820条、818条)、親権者の死亡の際の親権者の指定や親権者の不在により、父母以外が親権を持っていたり、未成年後見人などがいることもあります。

責任能力がない未成年者を監督すべき親権者は、その直接的な監視下にない子どもの行動についても、人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務があります。

親などの親権者の監督責任は、監督義務を尽くしたときや、監督義務を尽くしても交通事故が起きて損害が発生していたといえるときは、監督義務を負わず(民法714条但書)、損害賠償責任を負いません。

ただし、監督義務を尽くしたことを証明することは非常に難しいと言えますので、責任能力がない子どもが交通事故を起こした場合には、親などの親権者は、損害賠償責任を負うことになります。

3 未成年の子どもに責任能力がある場合

子どもが未成年であって責任能力がある場合には、子ども自身が損害賠償責任を負うことになります。

裁判例の傾向からすると、責任能力はだいたい12歳前後くらいであれば認められることが多く、12歳くらいが責任能力の有無の目安とされています。

12歳程度の知的レベルがあり、自らが行った行為について理解できれば、未成年者本人に責任を負わせても差し支えないとされているのです。

子どもに責任能力がある場合でも、子どもの責任とは別に、親権者自身の監督義務違反に基づく損害賠償責任を負いますので注意が必要です。

ただし、子どもに責任能力がない場合とは異なり、子どもに責任能力がある場合は、被害者が、親権者に監督義務違反があったこと及び親権者の監督義務違反と子どもの加害行為の間に相当因果関係があることを立証しなければなりません。

例えば、親が日ごろから子どもが自動車を運転することを黙認していたり、親が管理する親名義の自動車の鍵を放置していて子どもが鍵を持ち出し運転して交通事故を起こした場合などには、親が責任を負うことがあります。

4 保険加入の必要

未成年の子どもの交通事故の際には、親も高額な損害賠償責任を負う可能性があります。

未成年の子どもが自転車で他人にケガをさせたり、赤信号で飛び出して子どもを避けようとした車が破損させたりした場合など、未成年の子どもが高額な損害賠償責任を負うこともよくあります。

子どもの交通事故等に備えて、きちんと個人賠償保険や自転車保険に加入しておくことが大切になります。

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