遺留分についてお悩みの方
1 遺留分は弁護士にお任せください
遺留分は、被相続人の配偶者や子どもなどが、一定の金額の財産を受け取ることのできる権利です。
例えば、ある人に全財産を渡すというような遺言書があった場合は、他の相続人の遺留分が侵害されている可能性があります。
遺留分を侵害された方は、それを取り戻すために、遺留分侵害額請求を行うことができます。
ご自身の遺留分が侵害されているかもしれないと感じたら、弁護士にご相談ください。
当法人では、相続案件を集中的に取り扱っており、遺留分などの相続案件を得意とする弁護士がご相談に対応させていただきますので、安心してご相談いただければと思います。
2 遺留分における注意点
遺留分侵害額の請求権を行使できる
期間には限りがある点に注意が必要です。 また、遺留分の計算は複雑ですし、計算をする際に考慮することがあり、その妥当性を巡って争いになるおそれがありますので、ご注意ください。
不動産が含まれている場合は、その評価額をいくらにするかによって遺留分額が変わってきますし、生前贈与があった場合は、それを遺留分の算定においてどのように考慮するのかを検討しなければいけません。
遺留分の額が変わってくるため、この判断が妥当なのかについて争いが生じるおそれがあり、正確な判断や適切な対応が求められます。
3 遺留分のご相談なら京都駅近くの事務所へ
弁護士法人心 京都法律事務所は、京都駅から徒歩3分の場所にあります。
京都市内やその周辺にお住まいの方はもちろん、お勤め先が京都駅周辺であるという方にとっても、遺留分のご相談にお越しいただきやすい事務所かと思います。
周辺に駐車場もありますので、お車でお越しいただくこともできます。
土日祝日や平日の夜に相談したいとお考えの方も、事前の日程調整により相談できる場合がありますので、まずは当法人までご連絡ください。
相談のお問合せは、お電話またはメールにてしていただけます。
4 電話相談も可能です
当法人では、遺留分など相続に関するご相談について、電話相談も実施しています。
忙しくて事務所まで行く時間が取れないという方や、まずは電話で相談したいとお考えの方でもご利用いただきやすいかと思います。
電話相談をご希望の方は、相談の受付にてお申しつけいただければそのように調整させていただきますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
遺産分割で考慮しなければならない特別受益 遺留分侵害額請求権の時効
遺留分が問題となる具体的なケース
1 様々な問題がある遺留分
相続人の一部には、遺留分という相続において最低限保証された権利があります。
遺留分には多くの問題がありますが、その中のいくつかの問題について、具体的なケースに即して説明していきます。
2 遺言書を作成する際に遺留分を考慮するケース
遺言書を作成する際に、たとえ特定の相続人に相続させたくないと考えていたとしても、遺留分くらいは相続させておいた方が紛争を防ぐことができます。
たとえば、本人に妻と長男、二男がいるとき、残された妻とその面倒を看てくれる長男に、自分の財産をすべて相続させたいと考え、そのような遺言書を作成していたとしても、財産を相続できないことに不満を持った二男が遺留分を請求してくるおそれがあります。
このような相続における争いを避けるためには、初めから二男には遺留分である8分の1くらいの財産を相続させておくような内容の遺言書にしておくことが大事です。
ここで、遺留分を計算するにあたって、遺留分を請求する相続人が、生前、亡くなった方から贈与などの特別受益を受けていれば、そのような利益は差し引かれて遺留分が計算されます。
そのため、そのような特別受益があったことを考慮して遺留分を計算することもありますが、ここで注意すべきことがあります。
というのも、そのような特別受益があったことを裏付けるような資料があるのかどうかということです。
このような資料がなければ、遺留分の請求を受ける側が、請求する側に特別受益があったことを証明できず、その存否をめぐって、やはり紛争となってしまうことになります。
ここで、「遺言書に特別受益の内容を記載しておけばいいではないか」とも考えられますが、たとえ遺言者が贈与をした当事者であったとしても、遺言書に記載されていたというだけでは、そのような特別受益があったということの証明が十分であるとまではいえません。
このように、遺留分のことを考慮して遺言書を作成する際には、これらのことも十分に考慮して、検討する必要があります。
3 遺留分を請求する際に消滅時効の成立が問題になるケース
遺留分を請求する際には、自らの遺留分が侵害されていることを知ったときから1年以内に請求をする必要があります。
この期間内に請求をしない場合、請求を受ける側から消滅時効を主張されてしまうと、その権利が消滅してしまいます。
そのため、遺留分を請求する側は、この期間内に請求をしたことを証拠に残しておく必要があり、通常は、配達証明付の内容証明郵便で遺留分を請求する旨の通知書を郵送するということがなされています。
ここで注意が必要なのが、この消滅時効の起算点が「亡くなったときから1年以内」なのではなく、「自らの遺留分が侵害されていることを知ったときから1年以内」であるという点です。
そのため、遺留分を請求することのできる相続人が、被相続人が亡くなったことを知らなければ、この期間はスタートしませんし、通常は、遺言の内容が遺留分を侵害する内容になっているというケースが一般的ですから、そのような遺言書の内容を知らない限りは、消滅時効の問題は気にしなくてよいということになります。
遺留分の請求が亡くなってから1年以内になされていることが確実であれば、消滅時効の問題は生じませんが、それでは、1年以上が経過して請求がされたときに、「請求する側が、遺留分が侵害されていることを知ったのは、亡くなったときではなく、その後のことだ」というのは、請求する側か、請求をされる側のどちらが証明しなければならないのでしょうか。
この点については、遺留分を請求する側が、「消滅時効の期限内に遺留分の請求をしたこと」の証明責任を負う一方で、遺留分を請求される側が、「遺留分を請求する側が、遺留分を侵害されていることをすでに知っていたこと」を証明する責任を負うと考えられています。
このように、遺留分を請求される側が消滅時効の主張をするためには、「遺留分を請求する側がすでに遺留分を侵害されていることを知っていたこと」を証明しなければなりませんから、たとえば、遺言書の内容を予め伝えていたことなどを証拠に残しておく必要があるといえるでしょう。
遺留分権利者の範囲
1 相続人=遺留分権利者ではないことに注意
⑴ 遺留分権利者とは
たとえば、父Aさんが亡くなり、「友人のBさんに全財産を遺贈する」といった遺言書が見つかったとします。
父Aさんの相続人として、長男Cさんがいた場合、長男Cさんは、Bさんに遺留分の請求をすることができます。
このように、遺留分を請求できる立場にある人を、遺留分権利者と言います。
⑵ すべての相続人が遺留分を請求できるとは限らない
「遺留分は、相続人が最低限もらうことができる遺産」というイメージが強いため、上記のような遺言書があった場合、「相続人であれば、だれでもBさんに遺留分の請求ができる」と考えている方も少なくありません。
しかし、相続人であっても、遺留分の請求ができるとは限らないため、注意が必要です。
2 「兄弟姉妹」は遺留分権利者ではない
日本の法律では、遺留分権利者は「兄弟姉妹以外」の相続人とされています。
つまり、遺留分権利者は、亡くなった方の配偶者、子、両親ということになります。
なお、厳密には、「子」には、それよりも下の世代が含まれます。
先程の例だと、長男Cさんが父Aさんより先に亡くなっていたものの、長男Cさんに子(父Aさんから見れば孫)がいる場合には、その孫が長男Cさんの代わりに、遺留分を請求できます。
「両親」についても同様に、両親が先に亡くなっていて、祖父母が存命であれば、祖父母が遺留分を請求できるということになります。
3 「甥・姪」も遺留分権利者ではない
たとえば、Aさんが亡くなり、Aさんには子や孫がおらず、両親や祖父母など上の世代もすでに他界しているとします。
この場合、Aさんの兄弟姉妹が相続人になります。
仮に、Aさんに弟Bさんがいて、弟Bさんの方が先に亡くなっている場合、弟Bさんの長女Cさんが相続人ということになります。
この場合、長女Cさんは、あくまで弟Bさんの代わりにAさんの相続権を取得したに過ぎません。
弟Bさんは、もともと遺留分権利者ではないため、その代わりに相続権を得た長女Cさんも、遺留分権利者ではないということになります。
遺留分の計算方法
1 遺留分の計算方法
遺留分とは、相続において、兄弟姉妹以外の相続人の最低限の取り分として残されたものです。
それぞれの相続人の遺留分は、遺留分の算定の基礎となる財産がいくらであるのかを計算し、通常は2分の1の遺留分割合をかけて、ここにそれぞれの法定相続分をかけて計算します。
それぞれの相続人が遺留分からいくらの不足分があるのかを示すのが遺留分侵害額というもので、この遺留分侵害額が実際に遺留分として請求できる額です。
計算方法は、複雑なところがありますが、以下のとおり説明していきます。
2 遺留分の対象となる財産
遺留分の対象となる財産は、亡くなったときの財産に一部の生前の贈与を加え、債務を差し引いたものです。
亡くなったときの財産の額がいくらであるのかは、ただちに明らかになるわけではありません。
というのも、預貯金や現金などの額面が評価額になるものはよいのですが、不動産や株式については、その価値を評価する必要があります。
どのように評価することが妥当なのかはケースによりますので、専門的な判断が必要になります。
生前贈与として対象となるのは、原則として、相続人に対するものは亡くなる前の10年間にしたもののみが対象となり、相続人以外の者に対するものは1年間にしたもののみが対象となります。
生前の贈与は、相続人に対するものか、それ以外の者に対するものかによって、このような期間以外の取扱いも異なる面があり、さらに、この期間制限自体についても例外的な取扱いもありますので、遺留分の対象となるかどうかが専門的な判断を必要とするケースも多くあります。
上記のような亡くなったときの財産と生前贈与された一部の財産を加えたものから、借金などの債務を差し引いた額をもとに遺留分を計算します。
3 遺留分額
まずは全体の遺留分割合を確認します。
全体の遺留分割合は、原則として2分の1ですが、父母などの直系尊属のみが相続人である場合には3分の1となります。
兄弟姉妹には、そもそも遺留分は認められていませんので、ご注意ください。
2で説明した遺留分の対象の価額に全体の遺留分割合をかけたものが、全体の遺留分額となります。
それぞれの相続人の遺留分額は、全体の遺留分額からその方の法定相続分をかけたものとなります。
4 遺留分侵害額
遺留分とは、相続人に認められた最低限の取り分ですから、遺留分権利者が取得した財産があるのであれば、この財産の額が差し引かれることになります。
差し引かれる財産は、相続や遺贈によって取得することになった財産や、生前に贈与を受けていた一部の財産です。
相続や遺贈によって取得することになった財産の内容は、財産の評価の問題はあるにしろ、明らかであることが多いでしょう。
ただし、生前に贈与を受けていた財産は、「生計の資本」等として受けた贈与のみが対象となるため、これに該当する贈与かどうかを判断する必要もあります。
このように、自己の遺留分額から、上記の財産の額を差し引いて、残った価額が遺留分侵害額となり、相続人が実際に請求できる金額となります。
遺留分侵害額は、これを侵害している者に対して、一定の順序に従って計算された額を請求することになります。