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離婚の際の年金分割

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年11月22日

1 年金分割の仕方

婚姻中に厚生年金または公務員の共済年金(現在は厚生年金に一元化)に加入しており、厚生年金保険の記録がある場合、離婚時の財産分与として厚生年金を分け合うことができます。

これを年金分割といいます。

年金分割は、離婚をした日の翌日から原則として2年以内に、①合意分割、②調停・審判、③3号分割のいずれかの方法で行います。

以下、それぞれの方法について説明します。

2 合意分割

(元)夫婦の合意の上で、年金分割の按分割合を決める方法です。

流れとしては、まず、年金事務所で年金分割のための情報通知書を取得します。

この情報通知書には、 年金加入期間や年金分割の下限額など、年金分割に必要な情報が記載されています。

年金分割のための情報通知書が取得できたら、記載されている情報をもとに、年金分割の按分割合について話合いを行います。

按分割合の上限は50%です。

按分割合の合意ができたら、合意の内容を、公正証書の謄本または抄録謄本、公証人の認証を受けた私署証書、年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し署名した書類のいずれかに記載し、年金事務所へ提出します。

年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し署名した書類を用いる場合、(元)夫婦がそろって、年金事務所に直接、合意書を持参する必要があります。

年金事務所に書類を持参する際、それぞれが代理人を立てて提出することも可能です。

3 調停・審判

話合いをしても年金分割の合意ができない場合、家庭裁判所で調停をすることができます。

調停では、調停委員を介して按分割合について話し合います。

調停でも話合いがまとまらない場合は、審判手続きに移行します。

審判になると、家庭裁判所が事実関係を調査し、家庭裁判所の判断で按分割合が決定され、多くの場合、按分割合は50%とされます。

その後、調停調書または審判書を年金事務所に提出し、年金分割の手続きを行います。

参考リンク:裁判所・年金分割の割合を定める審判又は調停

4 3号分割

3号分割は合意分割とは異なり、第3号被保険者(会社員や公務員の配偶者の扶養に入っていた方)であった方ができる方法で、按分割合は必ず50%となります。

この方法では按分割合が決まっていますので、分割にあたって夫婦間の話合いと合意は必要ありません。

3号分割の対象となる年金は、平成20年4月以降に配偶者の扶養に入っていた期間のものに限られます。

平成20年4月以前の年金については合意分割の対象となります。

3号分割の手続きは、離婚後に年金事務所で標準報酬改定請求を提出することで行うことができます。

参考リンク:日本年金機構・離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)

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