離婚した場合の養育費
1 養育費の算定方法について
夫婦間に子どもがいる場合は、離婚した際に養育費の支払い義務がありますが、その金額について具体的な定めがあるわけではありません。
とはいえ、子どもの年齢や人数、養育費を支払う側の収入などによって、ある程度相場が決まっています。
実務においては、裁判所が発表している養育費算定表なども参考にして、養育費を決めることも多いです。
参考リンク:裁判所・平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
ここでは、離婚した場合の養育費について詳しくご説明いたします。
2 養育費の法的性質と内容
養育費は、父母が子を扶養する義務に基づいて支払われる金銭です。
離婚すると、当事者(元夫婦)の婚姻関係は解消されて他人になりますが、親子関係は消滅するわけではありません。
そのため、離婚後も子に対する扶養義務は残ります。
実務上は、親権を得ていない側の親が、子を引き取った親権者側に養育費相当額を支払う形になります。
養育費の内容としては、主に子の日常生活にかかる食費等の生活費、学費等の教育費、そして医療費などがあります。
これらの要素をもとに、離婚の際に具体的な養育費の金額を取り決めておく必要があります。
金額だけでなく、支払期間や支払い時期、振込先などについても具体的に決めておくとよいです。
決まった内容については、「言った・言わない」で揉めることを防ぐため、書面で残すことが大切です。
参考リンク:法務省・養育費
3 養育費の相場
養育費の相場はある程度決まっており、令和3年度における1月あたりの養育費の平均額は、母子世帯で約5万円、父子世帯で約2万7000円です。
この平均額は、あくまでも全てのケースの総平均額ですので、実際には子どもの数や年齢等の要素によって金額は変わります。
子どもの数が多いほど、一般的に1世帯あたりの養育費の金額は上がりますが、1人あたりの養育費の金額は下がる傾向にあります。
また、子どもの年齢が0~14歳の場合の養育費は低くなり、15歳以上になると高くなる傾向にあります。
これは、進学等によって、子を育てるのに必要となる費用が高くなることを反映しているためです。
この他、子を引き取った親権者の収入が低い、また養育費を支払う側の親の収入が高いほど養育費も高くなる傾向にあります。
養育費は当事者間の話し合いによって決まりますが、それが難しい場合は、裁判所での調停手続き等で金額を決めることになります。
参考リンク:裁判所・養育費請求調停