高次脳機能障害となって働けなくなった場合のQ&A
交通事故で高次脳機能障害になって働けなくなった場合には、加害者にどのような請求ができますか?
交通事故で高次脳機能障害の治療をして症状固定となるまでの間は休業損害の請求が、症状固定後も働けなくなって後遺障害が認定された場合には後遺障害逸失利益の請求ができる可能性があります。
ただし、高次脳機能障害となったとしても、まったく働けなくなるとは限りません。
また、高次脳機能障害の症状や程度は様々ですので、短期的には労働には支障が生じていないような場合もあります。
休業損害は、高次脳機能障害の治療や症状によって休業する必要が生じて、実際に休業をした場合に発生した収入の減少という損害の請求です。
高次脳機能障害の治療をしていても休業していなかったり収入の減少がなかったりした場合には原則として請求できません。
また、後遺障害逸失利益は、高次脳機能障害の治療やリハビリにより症状が改善して後遺障害が残らなければ請求できません。
高次脳機能障害で症状固定後も労働能力に支障が残った場合には、損害保険料率算出機構に後遺障害申請をします。
後遺障害等級が認定されれば、後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益、症状が重く介護が必要になった場合には介護費用などが請求できる可能性があります。
高次脳機能障害の後遺障害では、どのような等級が認定される可能性がありますか?
高次脳機能障害は、別表第1の第1級1号、2級1号、別表第2の第3級3号、5級2号、7級4号、9級10号、状況によっては12級や14級相当などが後遺障害等級として認定される可能性があります。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じておおよその金額が決まっています。
後遺障害逸失利益は、原則として、基礎収入、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率、労働能力喪失期間のライプニッツ係数を用いて計算をした金額を請求します。
高次脳機能障害の後遺障害等級は高くなることも多く、賠償金の金額が高いことが多いため、保険会社との交渉はより重要になります。
また、高次脳機能障害は非常に複雑な症状ですので、適切な等級の後遺障害認定を受けることが非常に重要になります。
高次脳機能障害で後遺障害の可能性がある方は、お早めに高次脳機能障害に詳しい弁護士にご相談ください。
また、後遺障害が認定されて賠償を受けたとしても、労働能力喪失率が100%でない限り、残った労働能力に応じて働くことになります。
高次脳機能障害で後遺障害が残って事故前と同じように働けなくなった場合には、自治体や障害者就労支援センター、地域障障害者職業センター、NPO法人などの様々な団体が就労支援や障害者雇用についての相談をしてみましょう。
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