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遺言執行者を指定するメリット

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年12月12日

1 遺言執行者を指定するメリットについて

遺言執行者を指定しておくメリットは、主に2つあります。

ひとつは、相続人等の相続に関する手続きの負担を減らすことができる点です。

もうひとつは、遺言によって身分関係の行為を実現できることです。

いずれも、相続に関する専門的な知識、経験が必要となりますので、これらのメリットを実現するためには、相続の専門家を遺言執行者に指定することが前提となります。

遺言執行の業務に詳しくない方が遺言執行者になってしまうと、かえって手続きが滞ってしまう可能性もあります。

以下、遺言執行者を指定しておくメリットについて、詳しく説明します。

2 相続人等の相続に関する手続きの負担を減らすことができる

遺言執行者には、相続財産の目録の作成義務があり、かつ遺言の内容を実現するために相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務がある旨が法律で定められています。

【参考条文】(民法)

(相続財産の目録の作成)

第千十一条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)

第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

3 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

参考リンク:e-gov法令検索(民法)

相続が発生した際、まず相続人等を悩ませるのが、遺産の調査です。

どのようなものが法律上遺産に含まれるのかを確認したうえで、具体的な被相続人の財産を調査するのはとても大変です。

相続財産の調査方法についてまとめておりますので、ご覧ください。

しかし、遺言執行者がいれば、代わりに調査をしてもらうことができます。

そして、遺産を実際に相続人や受遺者が取得するためには、相続に関する手続きを行わなければなりません。

具体的には、預貯金や有価証券の解約・名義変更、不動産の名義変更などがあります。

これらの手続きは、様々な専門的な書類を揃えたうえで、窓口や郵送などによって行わなければなりません。

相続に関する手続きに詳しい遺言執行者が指定されていれば、これらの手続きも任せることができます。

3 遺言によって身分関係の行為を実現できる

遺言で子供を認知する場合と、相続人の廃除をする場合には、遺言執行者を指定しておく必要があります。

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