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労災の手続きとは

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年11月19日

1 労災の保険給付を受けるための手続き

労災の手続きでは、労働基準監督署の労働基準監督署長が、労働者やその家族から労災保険給付の請求を受けて、労災か否かの調査や判断を行い、給付をするかどうかを決定します。

つまり給付を受けるためには、労災申請のための請求書等を労働基準監督署に提出し、審査してもらう必要があります。

労災の請求書等は労働基準監督署に備え付けられたりしており、これらの書類を提出することで、労働基準監督署が必要な調査を行い、認められた場合には労災の保険給付が受けられます。

参考リンク:厚生労働省・労働災害が発生したとき

申請する給付の種類によって必要な書類が変わってきます。

ここでは、一般的な労災の保険給付の手続きについて、給付の種類ごとに説明いたします。

2 療養(補償)給付

労災は、労働者が勤務中または通勤の際にケガや病気になった場合に請求できるものですので、通常、まずは会社に労災が発生したことを連絡することになります。

⑴指定医療機関で受診する場合

労災に遭った方が指定医療機関で受診する場合には、会社の証明を受けた療養補償給付たる療養の給付請求書(5号)又は療養給付たる療養の給付請求書(16号の3)を医療機関に提出します。

医療機関がこれを所轄の労働基準監督署に提出し、療養の給付請求書を受理した労働基準監督署が調査を行います。

通常はおおむね1か月程度で指定医療機関に治療費等が支払われるとされています。

労災指定医療機関についてはこちらもご覧ください。

⑵ 指定医療機関以外で受診する場合

指定医療機関ではない医療機関で受診する場合は、いったんご本人が治療費を立て替えることになります。

そして、会社・医療機関の証明を受けた療養補償給付たる療養の費用請求書(7号)又は療養給付たる療養の費用請求書(16号の5)を、治療費の領収書とともに労働基準監督署に提出することで、調査が行われた後、立て替えた金額を受け取る流れとなります。

3 休業(補償)給付

労災の療養のために労働ができず、仕事を休んで賃金を受け取っていない場合には、休業補償給付支給請求書(8号)又は休業給付支給請求書(16号の6)を労働基準監督署に提出します。

労働基準監督署が調査を行い、支給決定がされれば労災保険から休業(補償)給付が給付されます。

請求した本人に支給(不支給)の決定の通知が送られるとともに、支給される場合には指定された振込口座に保険給付が支払われます。

労災の休業補償についてはこちらもご覧ください。

4 障害(補償)給付

労災での負傷や疾病が治ゆ(もしくは症状固定)したときに、身体に一定の障害が残る場合があります。

この障害が法令に定められた障害等級に該当するときは、障害補償給付支給請求書(10号)又は障害給付支給請求書(16号の7)を労働基準監督署に提出すると、その障害の程度に応じて障害等級が認定されます。

請求書の提出後に保険給付決定の通知が送られて、支給される場合には指定された振込口座に年金または一時金で保険給付が支給されます。

障害(補償)給付は、請求書が受理されてから給付決定までおおむね3か月程度といわれています。

5 遺族(補償)給付

労災が原因で労働者が死亡した場合、遺族(補償)等給付や葬祭料等(葬祭給付)を受け取ることができる可能性があります。

状況により、受給資格者がその資格に応じて、遺族補償年金支給請求書(12号)、遺族年金支給請求書(16号の8)、遺族補償一時金支給請求書(15号)、遺族一時金支給請求書(16号の9)などを死亡診断書等の添付書類とともに労働基準監督署に提出します。

労働基準監督署が調査を行い、支給決定がされれば、遺族(補償)等給付が労災保険から給付され、指定された振込口座に保険給付が支払われます。

請求から給付決定までの期間は、おおむね4か月程度といわれています。

6 労災の手続きに不安がある方へ

このように、労災によってケガや病気になった場合には、労災保険給付を受けられる可能性があります。

きちんと労災の手続きを行わないまま時間が経つと、時効で権利が消滅してしまうこともありますので、早めの対応が肝心です。

労災の手続きについて不安がある方は、弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼することで、保険給付の手続きはもちろん、労災に関して問題が生じている場合や賠償請求を検討している場合も、対応を任せることが可能です。

当法人では労災の案件を得意とする弁護士がご相談を承ります。

お困りの際は当法人にご相談ください。

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