借金で強制執行をされるとどうなるのか
1 強制執行までの流れ
⑴ 催促の連絡
借金の返済ができなくなると、まずは債権者から電話や手紙等によって、返済の催促の連絡が来るようになります。
中には、債権回収の依頼を受けた弁護士や債権回収会社から連絡が来ることもあります。
⑵ 裁判・支払督促
これらの連絡を放置すると、裁判所から「訴状」や「支払督促」などの書面が届くことがあります。
ア 裁判
訴状が届いた場合、一緒に「口頭弁論期日呼出状」という書面が同封されており、そこに記載された日時に裁判所にて期日が開かれます。
その期日に出頭するか、期日の1週間前までに答弁書(これも訴状と一緒に同封されています。)を提出しなければ、欠席判決となり、債権者の請求を認める内容の判決が出されます。
そして、判決の送達から2週間を経過すると、判決が確定となります。
イ 支払督促
支払督促では、受け取ってから2週間以内に督促異議申立書(支払督促と一緒に同封されています。)を提出しなかった場合、「仮執行宣言付支払督促」というものが送られてきます。
この仮執行宣言付支払督促を受け取ってから2週間以内に督促異議申立書を提出しなければ、仮執行宣言付支払督促は確定となり、債権者の請求を認める内容の判決が出されたのと同じ効力が生じます。
⑶ 強制執行
上記⑵アの確定判決やイの確定した仮執行宣言付支払督促などを、「債務名義」と呼びます。
これらの債務名義がある場合、債権者は強制執行をすることが可能となり、債務者の財産を差し押さえて、そこから借金の回収を図ることができるようになります。
2 強制執行されるとどうなるか
よく強制執行の対象となるものをピックアップして、解説していきます。
⑴ 給与の差し押さえの場合
給与の差し押さえがなされた場合、裁判所から勤務先に連絡が入り、手取り収入の4分の1(手取り収入が44万円を超える場合には、手取り金額から33万円を除いた部分の金額)が差し押さえられます。
そして、これは借金を完済するまで続きます。
なお、給与の差し押さえは、勤務先を特定しないとできないため、債権者に勤務先を知られている場合には、給与差し押さえを受ける危険性が高いといえます。
⑵ 預金の差し押さえ
預金の差し押さえがされると、差し押さえられた時点で口座に入っている金額がすべて(借金の額よりも多くの金額が入っていた場合には、借金の金額まで)差し押さえられ、債権者に持っていかれてしまいます。
なお、預金の差し押さえは、今後その口座に入金される金額が継続的にすべて取られてしまうわけではないですが、再度預金の差し押さえの手続きが取られた場合には、その時点で残っている金額が持っていかれてしまうため、注意が必要です。
⑶ 動産の差し押さえ
動産とは、簡単に言えば物の差し押さえで、裁判所の執行官が自宅に来て、家の中にある現金や物が差し押さえられます。
なお、生活必需品である家具・家電や66万円以下の現金などは差し押さえ禁止となっておりますので、家の中のあらゆるものが持っていかれるわけではありません。
3 借金の返済が滞ったら、放置せずに弁護士に相談を
借金の支払いができない状態で放置してしまうと、強制執行によって財産を持っていかれてしまう可能性があります。
借金の返済が滞ったら、放置せずに弁護士にご相談ください。

















