自己破産の手続きは2回目でもできますか?
1 2回目の自己破産
一度自己破産をした方が、再度自己破産をすることはできるのか、疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
結論からすると、自己破産の回数に法律上の制限はありませんので、2回目であっても、破産手続開始申立をすることは可能です。
ただし、2回目の自己破産が認められるためには条件がありますので、そちらをクリアする必要があります。
また、破産手続開始申立ができたとしても、1回目と比べて免責決定は厳しいものになりますし、同時廃止ではなく管財事件になる可能性が高くなります。
そのため、2回目の方が手間や費用がかかる可能性が高いといえます。
きちんと時間と手間をかけて準備等をしないと、自己破産をしようと申立てをしても免責決定がされない可能性が高いことに注意が必要です。
2 破産管財人とその費用
裁判所は通常、免責許可をするべきかを慎重に審査し、自己破産を繰り返すことのないよう生活の改善、監督をする必要があると考えますので、破産管財人をつけて、破産者の財産の調査・管理・換価をする業務を行い、かつ、免責許可を出すべきかどうかの調査も行います。
裁判官や破産管財人から、直接厳しく説明を求められたり、家計の改善を求められたりすることもあります。
このように破産管財人がつく手続きのことを管財事件といいます。
この場合、破産管財人の報酬として、裁判所予納金を支払う必要があり、額は事案にもよりますが、最低でも約20万円程度の費用負担を強いられます。
3 免責不許可事由
⑴ 免責決定されないケース
破産手続開始申立をしても免責決定がされないケースとして、破産法にいくつかの規定があります。
借金の原因が、ギャンブルや賭博であったり、収入にあわない浪費であったり、先物取引やFXなどの射幸行為であったりした場合や、いわゆるクレジットカードで購入したものをすぐ売ることで現金化するような場合等のケースでは、免責不許可事由にあたり免責決定がされない可能性があります。
また、裁判所や債権者への説明に嘘があったり、財産を隠したり、書類などを偽造したりするなどという行為も免責不許可事由となります。
⑵ 2回目の自己破産特有の事由
一般的な自己破産の免責不許可事由に当たらないことの他に、2回目の自己破産が認められる条件として、再度の破産をする際の破産法上の規定があります。
再度の自己破産が認められるためには、前回の自己破産で免責許可決定が確定した時から7年が経過している必要があります。
短い期間で破産を繰り返すことは、原則として認められていません。
4 裁量免責
それでは、1度目の自己破産から7年経っていない場合や、免責不許可事由があった場合には、破産をすることはできないのでしょうか。
免責不許可事由がある場合でも、裁判官の判断により裁量免責が認められるケースはあります。
もっとも、裁判官の裁量ですので、必ず認められるものではなく、申立てをしても結局免責されずに借金が残り、一括で支払いをしなければならなくなることもあります。
5 別の手続きの検討
2回目の自己破産が認められる可能性が低い場合には、任意整理や個人再生を行うのもひとつの方法です。
任意整理は、裁判所を通さず、債権者と直接交渉して、利息の減額や分割回数を多くしてもらう方法です。
個人再生は、自己破産と同様に裁判所に申し立て、債務を圧縮して分割で返済する方法です。
個人再生手続きを進める過程でも、なぜ再び裁判所を利用する必要があるのかといった点が慎重に審査される可能性がありますが、住宅を手放すことなく、債務を一定額まで圧縮できる可能性があります。
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